КОСМОГРАД

プロトンM、測位衛星グロナスMの打ち上げに失敗

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Image credit: TsENKI TV

 バイコヌール現地時間7月2日8時38分22秒(日本時間同日11時38分22秒)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の81/24発射台から、プロトンM/ブロクDM-03ロケットが打ち上げられた。このプロトンにはロシア版GPSとも呼ばれる衛星測位システム、グロナス(ГЛОНАСС、グラナース)を構成する衛星グロナスM(ウラガーンM)が3機搭載されていた。

 しかし離昇直後からプロトンは異様に傾き始め、それを修正しようしたのか反対側に傾き出すも、今度は地面と水平にまでなったあと落下を始め、空力によってロケットの上部が崩壊、さらに機体が炎上し、地面へと墜落した ((Proton accident with GLONASS satellites
http://russianspaceweb.com/proton_glonass49.html)) ((Russian Proton-M fails at launch and crashes into spaceport | NASASpaceFlight.com
http://www.nasaspaceflight.com/2013/07/proton-m-launch-three-glonass/))。

 この打ち上げの様子はロケットの打ち上げ、追尾、管制を担当するTsENKI(ЦЭНКИ)がインターネットで生中継し 、また何人かの一般人もヴィデオカメラで撮影していたため、打ち上げから墜落に至るまでの映像はすぐさま全世界に流れ、衝撃を与えた ((Proton-M Launch Failure – July 2, 2013 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=EJ5__1PPgNQ)) ((Crash rocket “Proton-M” with 3 Glonass spacecraft / Аварийный пуск “Протон-М” 02.07.2013 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Zl12dXYcUTo))。

 ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)や、プロトンの商業打ち上げを行うインターナショナル・ローンチ・サーヴィシーズ社は即日声明を発表し、それぞれ独自の事故調査委員会を設立したこと、また事故による人的被害はないとしている。発射台への被害もまたないとしているが、ILS社だけは近くの建物に小規模な被害があったと報告している ((О пуске ракеты-носителя «Протон-М»
http://www.federalspace.ru/main.php?id=2&nid=20191)) ((Federal Proton Launch | Failure Review | Glonass | International Launch Services
http://www.ilslaunch.com/newsroom/news-releases/investigation-russian-federal-proton-glonass-mission-failure-underway))

 プロトンMの打ち上げ失敗は比較的多く、これはそもそも打ち上げ回数が多いためでもあるが、しかしながら、2010年以降に限って見ても37機中5機が打ち上げに失敗しており、打ち上げ成功率は約86%と決して高くはない。

 また最近の打ち上げ失敗は主に上段のブリースMやブロクDM-03に起因するものばかりであり、今回のように第1段が原因となった失敗は、1982年7月22日のプロトンKの失敗以来起きていなかった。さらに発射台の近くに落下するほどの大事故は、1969年4月2日の火星探査機の打ち上げ失敗以来となる。

原因調査

初期調査

 事故発生直後から、突風などの自然現象ではなく、技術的に何らかの欠陥があったためであろうということは明白であった。また、プロトンはこれまで半世紀も飛び続けていることからも、設計上の問題ではなく、製造過程において、例えば壊れた部品を使用してしまった、部品を間違えて取り付けてしまった、といったような変則的なことが起きたことは間違いないだろう。専門家の予想の多くは、エンジンのジンバル機構やエヴィオニクス(ロケットに搭載されている電子機器)に絞られた。

 RussianSpaceWebによれば、非公式の情報ながら、テレメトリー・データ(ロケットに搭載されているセンサーから得られた各種データ)から6基あるエンジンのうち1基のステアリング機構が故障し、異常な方向へ向いたままになっていたことが分かったという。それは残り5基のエンジンをもってすら補正が不可能なほどであったようだ。

 またロケットの離昇が予定よりも若干早かったことも報告されている。本来であれば6時38分22.000秒(モスクワ時間)に離昇するはずで、かつ誤差は0.05秒しか許されていなかったが、実際は0.515秒早い6時38分21.585秒(同)に離昇、つまりエンジンが最大推力に至っていないにもかかわらず離昇してしまったようだ。

 また同様にテレメトリーからは、エンジン付近の温度が通常の3倍となる1,200度にまで上昇していたことが分かり、エンジンやその直前の配管から出火していた可能性を示している ((Proton accident with GLONASS satellites
http://russianspaceweb.com/proton_glonass49.html))。

 7月4日にRussianSpaceWebが報じたところによれば、ロシアの宇宙開発専門誌ノーボスチ・コスモナーフティキのフォーラムにおいて、フルーニチェフ社からの情報として、ロケットの第1段の尾部に接続されている地上設備のケーブルの接続面が早期に分離したことがわかったという。このケーブルはロケットの離昇に伴って引き抜かれるようになっているが、離昇の前に分離してしまったようだ。つまりエンジンが最大推力に達していない段階で、ケーブルからの信号がロケットに伝達されなくなっていたことになる。

 また第1段のロケットエンジンの内圧も通常であれば15MPaほど出るはずが、9MPaほどと低かったという。憶測にすぎないが、エンジン内圧が低いことを検知したロケットの搭載コンピューターが、発射台へ落下するのを防ぐために、全エンジンを最大推力にまで急激に上げるよう命じ、その結果上記の出火を招いた可能性もある ((Proton accident with GLONASS satellites
http://russianspaceweb.com/proton_glonass49.html))。

謎の17秒

 ロスコスモスが出した声明によれば、ロケットは打ち上げから17秒後にエンジンが緊急停止し、打ち上げられた発射台から約2.5kmの地点に落下した、としている ((О пуске ракеты-носителя «Протон-М»
http://www.federalspace.ru/main.php?id=2&nid=20191))。プロトンを製造するフルニチェーフ社も同様の内容のプレスリリースを公開し ((О пуске ракеты-носителя «Протон-М»
http://www.khrunichev.ru/main.php?id=1&nid=2850))、ノーボスチ・ロシア通信社の報道もこの見解をなぞったが ((Роскосмос: на 17-й секунде аварийно отключились двигатели “Протона” | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130702/946994271.html))、しかし「打ち上げから17秒後にエンジンが緊急停止」という部分は、打ち上げの映像を見る限り、エンジンは墜落の瞬間まで燃焼を続けているため、明らかに事実と反している。

 RussianSpaceWebによれば、17秒後にエンジンが緊急停止した、あるいはそのコマンドが出されたというのはおそらく間違いであり、そもそもプロトンは離昇から42秒間はエンジンの緊急停止は行われないよう設計されているとしている。ロシアのロケットには飛行中に問題が生じた際に機体を自爆させる指令破壊装置は搭載されておらず、その代わりにエンジンを停止させ、墜落させるようになっている。しかし、もし離昇直後にこの機能が働いてしまうと、推進剤を満載したロケットが発射台に落下することになるため、一定時間はエンジンを停止させず燃焼させ続け、発射台から遠ざかったところで落下させるようになっている。プロトンが離昇してから地上に衝突するまでは32秒しかなかったことから、エンジンを緊急停止させることは元よりできなかった ((Proton accident with GLONASS satellites
http://russianspaceweb.com/proton_glonass49.html))。

真相に近づく

 7月9日、イタル・タス通信は打ち上げ前のロケットの飛行制御システムに誤った値が入力されてしまい、その値を頼りにロケットが飛んでしまった結果墜落した、と報じた ((ИТАР-ТАСС : Авария “Протона” произошла из-за сбоя в системе управления ракетой
http://www.itar-tass.com/c616/801353.html)) ((ИТАР-ТАСС : Booster rocket accident caused by control system malfunction
http://www.itar-tass.com/c32/801419.html))。

 同9日、RussianSpaceWebは、いくつかの角速度センサーが逆向きに取り付けられたようだ、と報じた。この角速度センサーには矢印がついており、その矢印がロケットの上を指すように組み立てられるようになっていたとされるが、実際には下向きについていたという。その結果、逆向きに取り付けられたセンサーからは誤った情報が流れ込み、それを基に姿勢を”修正”しようとした結果、ロケットはおかしな方向に飛び、墜落したという。

 この組み立て作業を担当したのは若い技術者であったことも判明しており、彼への責任もさることながら、間違いを招き、そしてそのまま見過ごしてしまった、ずさんな品質管理体制も当然ながら問題となっている。また通常であれば、打ち上げ前の試験でそのような間違いは検出されるはずであるが、どういうわけか試験を通過してしまったという ((Proton accident with GLONASS satellites
http://www.russianspaceweb.com/proton_glonass49.html#culprit))。

ロゴージン副首相「原因は人為的なものではない」

 イタル・タス通信とノーボスチ・ロシア通信社は12日、ロシアのロゴージン副首相が「失敗の原因は人為的なものではない」と語ったと報じた。

 さらにロゴージン副首相は「誰かがプラスとマイナスを間違えた、などという話が出回っているが、呆れてものもいえない。専門家が聞けば肩をすくめるだろう」と述べ、先ごろ報じられた「センサーの逆付け説」を真っ向から否定した。

 彼は続けて、「そのようなものは”馬鹿でも分かる”ように作られている。第一にワイヤーやその接続先は色分けされており、色覚障害者でもなければ間違いようがない。第二に、ワイヤーの長さはそれぞれ異なっている上に、接続先までの距離もワイヤーの長さに合わせて異なっており、どう間違っても接続のしようがない」とも述べた ((ИТАР-ТАСС : Дмитрий Рогозин отверг версию, что к аварии ракеты “Протон” привели перепутанные провода
http://www.itar-tass.com/c616/805777.html)) ((Рогозин: авария “Протона” произошла не из-за человеческого фактора | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130712/949301754.html))。

相次ぐリークに苛立つロゴージン副首相

 ノーボスチ・ロシア通信社は7月12日、ロゴージン副首相が「プロトンの事故調査結果は、8月前半にもドミートリー・メドヴェージェフ首相とヴラジーミル・プーチン大統領に報告されるだろう」と述べたと報じた。

 ロゴージン氏は現在制作が進められている報告書の内容についても若干触れ、問題の部分は2011年の夏ごろに製造されたこと、また当時は軍が腐敗していたことが根底にあるだろうということを明かした。

 またメディアへ様々な情報、憶測、噂がリークされ、報じられ、世間に広まることに対し、許しがたいとも述べた ((Рогозин: итоги расследования по “Протону” представят властям в августе | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130712/949304983.html))。

 そしてこれ以降、ノーボスチ・ロシア通信社、インタファクス通信などのメディアが、”業界筋”などからとする不確実な情報を報じることはなくなった。もちろんセンサーの逆付け説が有力視されている上に、大々的に報じられたことで、真偽はともかく他の説に魅力がなくなったことも関係しているだろう。

ロスコスモスからの公式発表

 ノーボスチ・ロシア通信社は7月10日、ロスコスモスが暫定的な調査結果を7月17日に発表すると報じた。これはロスコスモスが立ち上げた事故調査委員会とともに原因究明に当たっている、カザフスタン共和国の環境保護省の役人が明かしたものだ。またこの記事によれば、離昇が予定より若干早かったことは失敗の直接的な原因ではないだろう、としている ((Предварительные причины падения “Протона” могут озвучить 17 июля | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130710/948792061.html))。

 7月18日、ロスコスモスは調査結果を発表し、全部で6個搭載されている角速度センサーのうち、3個が逆向きに取り付けられていたことが失敗の原因であることが公式に明らかにされた。これは模型を使ったシミュレーションの結果から断定されたようだ。

 それに加えて、従来、打ち上げ前に行われていた検査(電気試験)の方法では、今回のような間違いは検出できないこともわかり、今後は作業の工程をヴィデオで録画し確認するなどの、別の検査手段を導入することも明かされた。

 また離昇が予定時刻よりも若干早かったことも公式に明かされたが、打ち上げ失敗とは関係がないとされている ((О работе Межведомственной комиссии по расследованию причин аварии РН «Протон-М»
http://www.federalspace.ru/main.php?id=2&nid=20216))。

 イタル・タス通信が報じたところによれば、ロスコスモスが立ち上げた事故調査委員会の長を務める副長官のロパーチン氏は記者会見において、くだんのセンサーの組み立てを行ったのは30歳の技術者であり、また作業は彼の直接の上司によってチェックされ、さらにその次に品質管理を監督する人間によってチェックされたものの、3人とも間違いに気付けなかったと語った。また早期離昇についても触れ、「もしセンサーさえ正常であったなら、プロトンMは問題なくグロナスを軌道へ送り届けられただろう」と語り、やはり打ち上げ失敗とは因果関係はないとの認識を示したとのことだ ((ИТАР-ТАСС : Ракета “Протон-М” потерпела аварию из-за нештатной работы датчиков угловых скоростей – Роскосмос
http://www.itar-tass.com/c616/812096.html))。

 ロスコスモスの報告書には、なぜこのような間違いが起きたのかということについては語られていない。くだんのセンサー、またケーブル類はミスを防げるように作られており、またこれまで正常に組み立てられていたことからも、そう簡単に間違えられるようなものではないはずだ。組み立てに関わった3名をはじめとする何人かの関係者は警察の取調べを受けることになるだろう。

 電気試験で問題を検出できなかった理由については、おそらくセンサーは逆向きだったもののケーブルは通常と同じように配線された(つまりセンサーに対しては逆に接続されていた)ため、ぱっと見では間違いに気付きにくかったのではないだろうか。また電気試験では、配線さえ正常であれば電流は流れるだろうし、また、もし試験時にロケットが動いていれば、センサーが誤った数値を吐き出していることに気付けただろうが、ロケットは横倒しの状態で静止した状態で試験されるため、それもできなかった、ということではないだろうか。

 ロゴージン副首相は18日、Twitterで「失敗に関係していると疑われている人間を嘘発見器にかける」と発言した。通常ヒューマン・エラーというものは、原因を作り出した当人すら気付かないうちに、うっかり起こしてしまうものであるが、にもかかわらず、わざわざ嘘発見器が持ち出されるということは、製造や検査で手抜きが行われた、あるいはロケットを墜落させようとした破壊工作が行われた可能性が疑われていることを示唆している ((Twitter / Rogozin: Life Подозреваемых …
https://twitter.com/Rogozin/status/357914035552919552))。

環境汚染

 打ち上げの失敗原因と並んで重要視されているのは、落下地点の環境汚染である。プロトンには推進剤には非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)と四酸化二窒素(N2O4)の組み合わせが使われており、両者はどちらも強い毒性を持ち、両者の燃焼ガスもまた同様に強い毒性を持っている。ちなみにプロトンの最上段に搭載されていたブロクDM-3の推進剤は液体酸素とケロシンで、ヒドラジン等に比べると環境には優しいが、かといって撒き散らしても平気というものでもない。

 ノーボスチ・ロシア通信社が報じたところによれば、ロケットの推進剤の多くが燃えたこと、また打ち上げ当日に降っていた雨のおかげもあって毒性が薄まり、大きな汚染はなかったという。これはプロトンを製造しているフルーニチェフ社のアレクサーンドル・セリヴェールストフ社長が明かしたものだ ((Казахская спецкомиссия изучит влияние ЧП с “Протоном” на экологию | РИА Новости
http://ria.ru/eco/20130702/946996914.html))。インタファクス通信も、カザフスタン緊急事態省筋の話として同様の見解を伝えている ((После падения “Протона” образовалось ядовитое облако от сгорания гептила – Новости – В мире – Интерфакс
http://www.interfax.ru/world/news.asp?id=31599))。また墜落地点から一番近い街は60kmほど南東に位置している一方、当日風は北東方向に吹いていたことから、毒ガスによる影響も少ないと見られている ((Попавшие после ЧП с “Протоном” в воздух вещества не угрожают Байконуру | РИА Новости
http://ria.ru/eco/20130702/947001667.html))。

政治の反応

 ロシアのガゼータ紙は2日、インタファクス通信の報道を引用する形で、ドミートリー・メドヴェージェフ首相がロゴージン副首相に対して、事故原因の解明と、責任者の追求を命じたことを報じた。これは両者が参加した会議において、ロゴージン副首相が今回の事故について報告した際に発せられたものだとされる。また宇宙産業の強化と、再発防止も強く求めたとされる ((Медведев потребовал от Рогозина найти виновных в падении ракеты – Газета.Ru | Новости
http://www.gazeta.ru/social/news/2013/07/02/n_3012245.shtml))。

 ノーボスチ・ロシア通信社は2日夜、ドミートリー・ロゴージン副首相が、7月5日に宇宙産業の改革に関する会議を開催すると報じた。この会議にはロスコスモス局長をはじめ、国防副大臣、経済大臣、財務大臣などが参加する予定とされる ((Заседание комиссии по ракетно-космическим реформам пройдет 5 июля | РИА Новости
http://ria.ru/defense_safety/20130702/947173460.html))。

 ロゴージン副首相は以前からロシアの宇宙産業を改革すべく、ロケットや衛星を開発、製造する会社の統一化や、宇宙省の設立など訴えていた。当然反対も多かったが、今回の事故によってその動きが加速される可能性はあろう。

メドヴェージェフ首相の叱責

 イタル・タス通信、ノーボスチ・ロシア通信社など複数のロシア紙は8月2日、ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相が、ロスコスモスのポポーフキン長官を叱責したと報じた。今回のプロトンMの打ち上げ失敗だけが原因ではなく、ここ数年相次いでいる一連の失敗すべての責任に対するものであるという ((ИТАР-ТАСС : Главе Роскосмоса Владимиру Поповкину объявлен выговор
http://www.itar-tass.com/c1/827932.html)) ((Главе “Роскосмоса” объявили выговор | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130802/953853920.html))。

 ポポーフキン長官は2011年4月29日にロスコスモス長官に任命されたが、その8月にはプロトンMの上段ブリースMのトラブルで通信衛星エクスプレスの打ち上げに失敗、また11月には火星とその衛星フォボスを探査するフォボス・グルントが打ち上げられたが、その後地球の軌道から脱出し、火星へ向かう軌道に乗る運用に失敗、その後もトラブルが相次いでいる。

放射能汚染

 ロシア・トゥデイ紙は2日、カザフスタン緊急事態省が、ロケットから核燃料(Nuclear fuel)が漏れ、周辺地域を汚染した可能性を考慮していると報じた ((Russian Proton-M rocket crashes, erupts in ball of fire (PHOTOS, VIDEO) — RT News
http://rt.com/news/proton-m-rocket-takeoff-crash-514/))。

 いうまでもなくプロトンに核燃料は使われていないため、これは誤報である。あるいはグロナス衛星に搭載されているセシウム原子時計に使われているセシウムのことを指している可能性はあるが、しかし原子時計は核分裂を伴うものではないし、またそもそも使われるのはセシウム133と呼ばれる安定同位体で、放射線を発するものではない。もちろん大量に摂取すれば人体に悪影響がでるだろうが、セシウム原子時計に使われているセシウムの量はごくごく微量であることから、現実的にはまず起こりえない。

 同記事は公開後も情報が頻繁に更新されており、7月3日に閲覧した時点では、核燃料の記述は削除されており、やはり誤報であったようだ。

今後への影響

グロナス

 ノーボスチ・ロシア通信社は7月8日、今年の9月から10月にかけて、新しいグロナス衛星が2機、プレセツク宇宙基地から打ち上げられると報じた。これはグロナス衛星を製造しているISSレシェトニェーフ社のニコライ・チストィエドフ社長が明かしたものだ ((Два спутника “Глонасс” будут запущены с Плесецка в сентябре-октябре | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130708/948317668.html))。

 プロトンとソユースはまったく異なるロケットなので、おそらくこれは可能だろう。またそもそも、ソユースを使いグロナス衛星を今年中に数機打ち上げるということは以前から予定されていたので、今回の事故を受けて急遽設定されたというものでもない。「事故による打ち上げ延期などの影響はない」とアピールするとともに、プロトンの失敗による余波――安全のためにロシアの全ロケットを飛行停止させるなど――をけん制する狙いもあるのだろう。

国際宇宙ステーション

 プロトンはザリャーやズヴェズダーといった、国際宇宙ステーション(ISS)のモジュールの打ち上げにも使われており、2013年には最後のモジュールとなる多目的実験モジュール、愛称ナウカ(Наука)を打ち上げる予定となっている。

 7月12日、ノーボスチ・ロシア通信社は、ナウカの打ち上げが2014年初頭まで遅れるだろうと報じた。ただし単に今回の打ち上げ失敗の影響というわけではないようで、そもそも今年中の打ち上げのためには、6月中にバイコヌール宇宙基地へ輸送されていなければならなかったはずだが、7月になっても製造を行っているRKKエネールギヤ社にあったという。つまりナウカ自体の製造が遅れており、今回の事故があろうがなかろうが、打ち上げが延期される可能性があったということになる ((Запуск лабораторного модуля на МКС могут перенести на начало 2014 г | РИА Новости
http://ria.ru/science/20130712/949256744.html))。

飛行再開へ

アストラ2E打ち上げ成功

 インターナショナル・ローンチ・サーヴィシーズ社は9月30日、7月の失敗以来初となるプロトンMの打ち上げを実施した。ロケットは順調に飛行し、搭載していたSES社の通信衛星アストラ2Eを所定の軌道に投入した ((Космический аппарат «Астра-2Е» выведен на целевую орбиту
http://www.federalspace.ru/19848/)) ((Commercial Rocket Launch | ASTRA 2E | Success Release | International Launch Services
http://www.ilslaunch.com/newsroom/news-releases/ils-proton-successfully-launches-astra-2e-ses))。