• 2019
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ルッツ・カイザーさんと「OTRAG」ロケットのドキュメンタリー映画『FLY ROCKET FLY』

 ドイツ生まれのロケット科学者ルッツ・カイザーさんと、彼の手がけた「OTRAG」ロケットを追ったドキュメンタリー映画『FLY ROCKET FLY』が制作されたそうです。監督はOliver Schwehmさんという方で、ドイツでは2018年9月27日に公開。

 ロケットオタに生まれたからには、誰でも一生のうち一度は夢見る、未だかつてない画期的なロケット。かくいう私もそうだったのですが、そんな人が(深夜にEncyclopedia Astronauticaあたりを漁って)最初に行き着くであろうロケットが「OTRAG」だと思います。

 OTRAGは、西ドイツのロケット科学者ルッツ・カイザー(Lutz Kayser)さんらが1970年代に開発したロケット(また同時に設立した会社の名前)で、超非力で超低コストなロケットを、数十基から100基以上も束ねてひとつのロケットにし、衛星を打ち上げようというもの。規模の経済も働くことで、打ち上げコストを従来の10分の1にしようと考えられていました。毛利元就も裸足で逃げ出しそうです。

 1970年代というと、スペース・シャトルに代表されるように、世界は再使用型ロケットに移行しようとしていた時期ですが、その真逆を行く、それも究極まで突き詰めようとする発想が最高にロックです。さすがクラウトロック発祥の国。

 ところが、ザイール(現在のコンゴ)やリビアといった国で打ち上げ実験を行ったことから、いろんな国から怒られて計画は頓挫。たしかに、地政学的に、また歴史的に、西ドイツからはロケットを打ち上げにくかったとは思いますが……。

 その後カイザーさんはリビアに住み、さらにマーシャル諸島に移住したのち、2008年には米国のインターオービタル・システムズ(Interorbital Systems)に入社。OTRAGとまったく同じコンセプトの「ネプチューン(NEPTUNE)」というロケットの開発を手がけますが、一度も宇宙へ飛ぶ姿を見ることなく、2017年11月19日にこの世を去ります。インターオービタルはいまなおネプチューンの開発を続けていますが、まだ宇宙へ届く日は見えない状況です。

 予告編を見る限り、実際の打ち上げの映像や、晩年のカイザーさんへのインタヴューなどが盛りだくさんで、予告編だけでも見どころ満載。初めて見る映像ばかりで思わず見入ってしまいました。なにこれ滾る!

 残念ながら日本での公開予定はないようですが、ソフト化やネット配信されたらぜひ観てみたいですね。

4月17日追記

 読者の方から、「ルフトハンザドイツ航空の機内映画として提供されており、観ることができました」との情報を提供していただきました。もし近々、ドイツへ行かれる方がいらっしゃいましたら、ご参考までに。

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